上部内視鏡検査とは

上部内視鏡検査

胃カメラという呼び名が一般では浸透していますが、正式には上部消化管内視鏡もしくは、食道、胃、十二指腸内視鏡と呼ばれています。胃カメラでは、鼻から挿入するタイプの経鼻内視鏡と口から挿入するタイプの経口内視鏡の2種類があります。当クリニックでは、どちらも選択することが可能です。

なお当クリニックでは、診察時に疑わしい病変がみられた、あるいは健診時のバリウム検査で異常が見つかったといったことで詳細を調べるために行うというだけでなく、検診や人間ドックなど予防医療という観点からも実施しています。ちなみに胃カメラで発見されやすいとされる胃がんは症状が出にくいのが特徴ですが、早めに発見して治療を行えば予後は良好と言われています。その他の消化器疾患につきましても早期発見早期治療は重要です。これまで何の症状がなかったという方も定期的に胃カメラを受けられることをお勧めします。

胃カメラによる検査が勧められる症状(例)

  • みぞおちの周辺が痛む方
  • 胃の不快感・胸やけ・喉または胸のつかえ感がある方
  • 吐き気・嘔吐・吐血の症状がある方
  • 体重の急激な減少がある方
  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍を繰り返している方
  • 胃がん・食道がんになった家族のいる方
  • 塩分を多くとる方
  • バリウムによる胃の検診で異常を指摘された など

胃カメラによる検査で発見可能な主な疾患

  • 逆流性食道炎
  • 胃炎(急性・慢性)
  • 胃ポリープ
  • 十二指腸潰瘍
  • 食道がん
  • 食道ポリープ
  • 胃潰瘍
  • 胃がん
  • など

胃カメラで行う治療

なお胃カメラでは、食道、胃、十二指腸を観察していきますが、それだけであれば検査時間は5分程度で終了します。そのほかにも時間を要しますが、以下の治療も当クリニックの内視鏡で行うことができます。

  • 止血術:潰瘍や静脈瘤から出血している、あるいは出血の危険が高いとされる箇所を専用の処置具を使って止血していきます。
  • 異物摘出:入れ歯を誤って飲み込んでしまった、あるいは刺身などと一緒にアニサキスなどを食してしまったという場合に適用される治療法です。専用の処置具を使って摘出していきます。
  • 砕石・採石:いわゆる胃石を溶かすことで、石を取り除くという方法です。
  • 生検:がんや炎症が疑われ、組織を顕微鏡で調べる必要が生じた場合、専用の処置具を使って組織を採取していきます。
  • 内視鏡的粘膜切除術(EMR):大きさ2㎝以下のポリープなどの隆起病変に対して、スネアと呼ばれる金属の輪を病変部に引っ掛け、高周波電流を流して病変を切除していきます。
  • 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD):広範囲な病変や、小さくても凹んでいる(陥凹)病変を専用の処置具を使って一括して切り取っていきます。

経鼻内視鏡と経口内視鏡

先にも述べましたが、当クリニックでは経鼻内視鏡と経口内視鏡どちらも選択することができますが、それぞれの特徴は以下の通りです。

経鼻内視鏡とは

左右どちらかの通りが良いとされる鼻の側に挿入します。なおチューブの径は約5~6mmと細い仕様になっています。特徴としては、挿入時や検査時にチューブが舌の根に触れることがないことから嘔吐反射(オエッとなる)がみられることが少ないという点です。したがって、苦痛を軽減するために使用する鎮静剤を使用しなくても検査を受けることが可能(希望される方には鎮静剤を投与します)です。また口呼吸ができますので検査中に医師と会話もできます。そのため異常を感じた、質問があるといった場合も直接医師に訴えられます。

また経鼻内視鏡を希望されたとしても、鼻腔が元々狭い、鼻の違和感が苦手、何らかの疾患が鼻(アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎 など)にあるという場合は、経口内視鏡による検査をお勧めしています。

経口内視鏡とは

内視鏡を口から挿入するので、舌の根にチューブが常時触れるようになります。そのため、嘔吐反射がみられるようになり、苦痛を感じるようになるので鎮静剤を使用します。これを投与することで、検査中は緊張が解れ、リラックスした睡眠状態で受けられるので苦しい思いを軽減できるようになります。

なお経口内視鏡では、チューブの径が約10mmの機器を使用します。径が太い分だけ高精細な画像で内部の様子を観察できますので、目立ちにくい病変などを発見しやすくなるということもあります。またポリープを切除する際は、経鼻内視鏡よりも検査機器が大きめの経口内視鏡で行われることがほとんどです。

検査が決まったら

胃カメラの検査が決まったら、まず日時の予約をし、経鼻および経口のどちらかを選択し、感染症の有無を確認するための検査も行います。そして医師もしくはスタッフが、検査前、検査当日、検査後の注意点について説明いたします。また、常用薬があるという方は事前に申し出るか、お薬手帳をご持参するようにしてください。

胃カメラ検査時の大まかな流れ

消泡剤を服用する
問診が終わったら、観察しやすくするために胃内の泡を除去する消泡剤を服用します。
麻酔をします
経鼻内視鏡の場合は、挿入する側の鼻腔(両側の鼻の奥)に麻酔薬を注入していきます。経口内視鏡では咽頭麻酔になります。
検査開始(内視鏡挿入)
経口内視鏡では左側を下にして検査台で横になります。経鼻内視鏡は仰向けになります。鎮静剤を希望される場合は、鎮静剤を注射(投与)してから検査を開始します。
食道、胃、十二指腸の内部を観察
胃、食道、十二指腸を観察し、必要があれば一部の組織の採取(生検)なども行います。経鼻内視鏡であれば、検査中でも医師と会話ができます。また経口内視鏡では、口内に唾液が溜まっていきますが、それは飲み込まずに口の横から流し出すようにします。
検査終了
観察を一通り終えると終了です。検査時間は観察のみなら5分程度です(個人差はあります)。