下部内視鏡検査とは
下部内視鏡検査は、大腸カメラとして広く知れ渡っています。同検査では、内視鏡を肛門から挿入していくことで、2m弱の大腸と小腸の一部の内腔の様子を観察し、病変(炎症、潰瘍、ポリープ、がん など)の有無などを確認していきますが、そのほかにも病変が疑われる組織の一部を採取して、顕微鏡による詳細な検査(生検)、発見したポリープを内視鏡で切除するといったことも行います。
ちなみに大腸カメラで発見しやすい疾患のひとつでもある大腸がんは、日本人のがんによる死亡数の第2位となっています。この患者様の大半は50歳を過ぎてから発症します。このがんの特徴として初期にはこれといった症状がないことから、初期で気づく場合は大腸カメラの場合が大半です。そのため、これまで腸に何の症状もなかった方でも50歳前後になられましたら、同検査を一度受診されることをお勧めします。
また肛門から内視鏡を挿入するということで、女性はとくに恥ずかしいと思われるかもしれませんが、女性である当院長が検査を行いますので、不安なことは何でもご相談ください。
大腸カメラによる検査が勧められる症状(例)
- 便潜血反応で「陽性」が確認された
- 血便が出ている
- 便秘や下痢などの便通異常がみられる
- 腹痛、腹部膨満感がある
- 貧血を指摘されている
- 顔色が悪いとよく言われる
- 急激な体重の減少があった
- 大腸ポリープや大腸がんを治療した経験がある など
大腸カメラで発見可能な主な疾患
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 大腸憩室症
- 虚血性腸炎・痔
- など
大腸カメラで行なう治療
また大腸カメラでは、大腸内を観察していきますが、そのほかにも時間を要しますが、以下の治療も当クリニックの内視鏡で行っています。
- 止血術:大腸では憩室からの出血に遭遇することが多いので、出血している個所を探し出して専用の処置具を使って止血していきます。
- 生検:がんや炎症が疑われ、組織を顕微鏡で調べる必要が生じた場合、専用の処置具を使って一部組織を採取していきます。
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR):大きさが2㎝以下のポリープなどの病変に対して、スネアと呼ばれる金属の輪を病変部に引っ掛け、高周波電流を流して病変を切除していきます。
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD):広範囲な病変や、EMRでは一括切除が困難と判断した場合に、病変を専用の処置具を使って一括して切り取る手術になります。
炭酸ガスを使用し、腹痛などを軽減
大腸カメラは、肛門から内視鏡をくねくねと曲がっている腸管に向けて逆流する形で挿入していくわけですが、その際に空気も一緒に入っていきます。そのことによって腹痛やお腹のハリを訴える方もいます。当クリニックでは、挿入時に併せて炭酸ガスを使用していますので、これによって腸管を伸ばさなくても内視鏡が挿入できるようになります。こうすることで、腹痛やお腹のハリといった症状も軽減していきます。
また同検査を受けることが決まったら日時を予約し、感染症の有無を確認するための検査も行います。そして医師もしくはスタッフが、検査前、検査当日、検査後の注意点について説明いたします。また、常用薬がある方は事前に申し出るか、お薬手帳をご持参するようにしてください。
なお大腸カメラでは検査前に腸内を何もない状態にしなくてはならないので、腸管洗浄液(下剤)を服用して腸内に残る不要物を体外へと排出していきます。下剤の服用方法等につきましても医師もしくはスタッフがご説明をいたします。
大腸カメラ検査時の大まかな流れ
検査をする2~3時間ほど前から腸管洗浄液(下剤)を服用し、排泄物が透明になるまで排便を繰り返していきます。そして腸内に何も残ってないことが確認されたら、検査衣に着替えて検査の開始となります。以下は検査時の大まかな流れになります。
- 腸の動きを抑える薬や鎮静剤を投与
- 検査をしやすくする腸の動きを抑制する注射をし、鎮静剤も投与します。
- 大腸カメラを挿入(検査の開始)
- 左側を下にしてベッドで横になります。そして肛門から内視鏡を挿入していきます。
- 腸内を観察
- 主に大腸の内腔を隅々まで観察していきます。その際に医師が必要と判断すれば、組織を一部採取(生検)したり、止血などを行うこともあります。
- 検査終了
- 腸内を一通り観察したら検査は終了になります。観察のみであれば検査時間は10分程度です(個人差はあります)。